●主人公・西園寺千代
社内初の女性人事課長。部下をもち、ますます仕事に意欲を燃やしている。
●百瀬社長
Palm株式会社の社長。会社設立後、蛯原、千代らと共に苦労しながら業績を伸ばしてきた。
●蛯原部長
管理部長。千代の直属の上司。親身に相談にのってくれるアドバイザー的存在。創業時から社長の右腕として会社を盛り立ててきた。
●主任 米田さん
入社時から人事畑。千代に先を越されてから内心あせりと戸惑いを感じている。
●水澤さん
人事課に所属する入社3年目の女性。初めて後輩をもち、はりきっている。
●木村さん
新入社員研修を終え、人事課に配属された新入社員。やりたいことが見つからず、なんとなく就職した。どこか冷めたところがある、ニート・フリーター系社員。
人事部・西園寺千代 誕生秘話
~百瀬社長から伝え告がれる”人事部の4つの役割”~
東京は桜の季節。
澄みきった青空や満開の桜は大好きなはずなのに、今日はなぜか気持ちが晴れない・・。
「まったく想像もできなかったわ。私が人事部へ異動??まさか・・」
寝耳に水!
青天の霹靂とは今回のことよね。
転職して今の会社に入って3年、これまで女性ながら営業マンとして、ひたすら目標に向かって突き進んできたつもり。
私は営業の仕事が大好きだし、毎日いろんなお客様に会わせていただいて日常の他愛もない話から仕事上話まで、お客様と単なる仕事上の付き合いを超えた関係を築き上げながら、結果を残すことができるこの仕事に誇りも感じている。
もちろん第一課の主任として部下のフォローもしているし、これまでも目標値は達成してきたわ。
・・人事部へ異動されるようなミスは何もなかったはず・・。
『う~ん。なぜ私が人事部へ?そもそも人事部って、いったい何してるの?』
頭に浮かんだのは、新卒者の採用や退職手続き、年に2回行われている名ばかりの人事考課や毎月の給与計算・・。
『はぁ。・・つまらなそう。 人事って、本当にそれだけなの?そんなもの??』
社内初の女性人事課長という肩書きは社内での注目度も高いらしく、もともと営業部で顔が広かったこともあり、挨拶周りには意外と時間がかかった。
お昼を過ぎて、ようやく前任者との引継ぎに入ったが、そこでわかった人事の仕事は、私が大体予想していた業務だった。
【Palm株式会社 人事総務部 人事課長 西園寺千代】
新しい名刺を見ながら、答えのみつからない疑問が頭に浮かぶ。
『人事部って本当にこんな仕事なの?これだけ?私はこんな仕事のために営業部から人事部へ異動させられたの?』
仕事を終えて、モヤモヤとした思いを抱えながら足早に帰ろうとしていると、偶然、社長に呼び止められた。
「西園寺さん、人事課長への昇格おめでとう」
「・・あ、ありがとうございます。」
今回の異動は、社長直々の話だと聞いている。
思い切って私の胸のうちにあるモヤモヤ感を社長に伝えてみると、社長がこう言った。
「人事には、組織を運営していく上で最も重要な役割が4つあるんだ」
その話は、今まで私が思っていた‘人事’という単純でつまらないイメージを根底からくつがえすことになった。
つづく・・・
コメント
コメントを送ってください