百瀬社長が青い顔で人事部に駆け込んできた。
「蛯原君。西園寺君。ちょっと会議室にいいかな?」
ワケが分からず、思わず蛯原部長と顔を見合わせた。
無言で百瀬社長の後について会議室へ。
会議室に入ると百瀬社長は開口一番こう切り出した。
「うちのレストラン事業部の社会保険はどうなっている?知り合いの社長の会社に社会保険の調査が入ったんだ。その結果8000万円も社会保険料を追加徴収されたらしい。」
「8000万円!?」
思わず、蛯原部長と声をそろえて聞きなおしてしまった。
「そうだ!8000万円だ。うちと規模も変わらないはずだが・・・。どうもパート社員を社会保険に加入させていなかったらしい。中小企業で8000万円も取られたら倒産してしまうよ!だからこそ早く手を打たなければならないんだ!」
百瀬社長の言葉は真剣そのもので冗談を言っているようには聞こえない。
「社長。社会保険の算定(定時決定)手続きも終わって社会保険庁も保険料を未納している企業の調査に力を入れているんでしょう。これから西園寺君と社会保険の調査について調べてみます。」
「うむ。早急に頼むよ!」
蛯原部長の力強い返事に安心したのか百瀬社長も「ほっ」とした様子だった。
つづく・・・
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